川島孝一
第75回  投稿:2019.08.01 / 最終更新:2019.08.01

1号特定技能外国人の判断基準~その2

前々回より、今年4月に改正された「出入国管理及び難民認定法」と「法務省設置法」についてみてきています。前回に引き続き、今回も「1号特定技能外国人」が求められる基準を説明します。

1号特定技能外国人が求められる基準

5)退去強制令書の円滑な執行への協力に関するもの
入管法における退去強制令書が発付されて送還されるべき外国人に対して、自国民の引取り義務を履行しないなど、退去強制令書の円滑な執行に協力しない国・地域の外国人の受け入れは認められません。現在、イラン・イスラム共和国とトルコ共和国は退去強制令書の円滑な執行に協力しない国として告示されています。
つまり、「その国や地域単位」でふさわしくないと判断した場合は、その国籍を持つ外国人すべてを1号特定技能外国人として認めないということです。

「退去強制令書」という言葉は、普段あまり聞きなれないと思います。退去強制令書が発付されると、入国警備官は退去強制を受ける外国人に退去強制令書(又はその写し)を示して、すみやかにその外国人を送還しなければなりません。
また、退去強制令書の発付を受けた外国人である「被退去強制者」をただちに日本国から送還することができないときは、送還可能になるまで、その者を入国者収容所、地方出入国在留管理局の収容場などに収容することができます。

6)通算在留期間に関するもの
「特定技能1号」で在留できる期間は、通算で5年以内です。

7)保証金の徴収・違約金契約等に関するもの
特定技能外国人や親族等から、保証金や違約金を徴収や金銭その他の財産を管理することもできません。また、不当に金銭その他の財産の移転を予定する契約も禁止されています。
特定技能外国人やその親族等が、保証金の徴収や財産の管理、違約金契約を締結させられていると、特定技能の適正な活動を阻害する可能性が高いため、これら保証金の徴収等が禁止されているのです。

「不当に金銭その他の財産の移転を予定する契約」とは、次のような契約が該当します。
①特定技能所属機関から失踪することなど、労働契約の不履行にかかる違約金を定める契約
②地方出入国在留管理局や労働基準監督署などの関係行政機関において、法令違反にかかる相談をすることを禁じる契約
③休日に許可を得ずに外出することを禁じる契約
④作業時間中にトイレ等で離席すること等を禁じて、その違約金を定める契約
⑤商品やサービスの対価として、不当に高額な料金の徴収を予定する契約   など

8)費用負担の合意に関するもの
特定技能外国人が入国前や在留中に負担する費用について、その意に反して徴収されることを防止するために、当該外国人が負担する費用の額と内訳を十分に理解して合意していることが必要になります。
会社が外国人労働者を受け入れる場合、居住費、光熱費、食費等を給与から控除するケースが多いですが、これらにも一定の基準が定められています。特定技能外国人が定期に負担する費用のうち居住費については、自己所有物件と借上物件のそれぞれのケースで基準が定められています。
また食費については、提供される食事、食材等の提供内容に応じて、合理的な費用でなければなりません。

<自己所有物件の居住費>
実際に建設・改築等に要した費用、物件の耐用年数、入居する特定技能外国人の人数等を勘案して算出した合理的な額

<借上物件の居住費>
借上げに要する費用(管理費・共益費を含み、敷金・礼金・保証金・仲介手数料等は含まない。)を入居する特定技能外国人の人数で除した額以内の額

<水道光熱費>
実際にかかった費用を特定技能外国人と同居している者(特定技能所属機関やその家族を含む。)の人数で除した額以内の額

<食材、宅配弁当等の現物支給の場合>
購入に要した額以内の額

<社員食堂での食事提供の場合>
従業員一般に提供する場合に特定技能外国人以外の従業員から徴収する額以内の額

<食事の調理・提供の場合>
材料費、水道、光熱費、人件費等の費用の提供を受ける者の人数で除した額以内の額

9)本国において遵守すべき手続きに関するもの
特定技能外国人の国において、海外(日本)に渡航して労働を行う場合の当該本国での許可等、本国において必要な手続きを遵守していることが必要になります。

10)分野に特有の事情に鑑みて定められた基準に関するもの
特定産業分野ごとに、それぞれ特有の事情があります。告示で基準が定められている場合であっても、その内容は分野ごとに異なります。1号特定技能外国人を受け入れる場合は、分野ごとに基準が定められているか、その基準に適合しているかを確認する必要があります。

前回に引き続き、今回も「1号特定技能外国人が求められる基準」について説明しました。1号特定技能外国人を受け入れるためには、これら10個の基準をすべてクリアする必要があります。
どれかひつとでもクリアできていない状態で受け入れてしまうと、法違反となりますのでご注意ください。

 

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