川島孝一
第106回  投稿:2022.03.31 / 最終更新:2022.03.31

夜勤シフトと休日の関係

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コンビニエンスストアなどの業種では、夜勤シフトが組まれることがあります。

夜中の24時をまたぐシフトが発生する会社では、法律の休日の定義をきちんと知っておく必要があります。たとえば、「夜勤明けを休日扱いにしていれば、休日の制限はクリアできている。」と思い込んでいると、法律上の休日を消化できていないケースがあります。

今回は、夜勤シフトと休日の考え方について紹介をしていきます。

 

労働時間の原則について

労働基準法では1日(8時間)と1週の労働時間(40時間)、労働時間に加えて休日日数(毎週少なくとも1回)を定めています。原則は、この時間数や日数を超えて従業員を労働させてはなりませんが、繁忙期等では労働時間が伸びたり、休日に労働させなければならなくなることもあります。

そこで、時間外労働・休日労働協定(いわゆる「36協定」)があります。36協定を締結して労働基準監督署長に届け出れば、法定労働時間を超える時間外労働と法定休日における休日労働が認められます。36協定は、監督署に届け出ないと効力が発生しない点には注意してください。

また、36締結は、時間外労働・休日労働を無制限に認める趣旨ではありません。時間外労働や休日労働は、必要最小限にとどめられるべきものです。労使がこのことを十分に意識した上で 36 協定を締結してください。監督署への届け出が終了した後は、就業規則やその他各種の労使協定と同様に、常時各作業場の見やすい場所への備え付け、書面を交付する等の方法により、労働者に周知する必要があります。

 

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割増賃金率について

先ほど申し上げた通り、労働基準法上定められている労働時間は、1日8時間、1週40時間です。この労働時間を超えた場合や法定休日に労働させた場合には、事業主は割増賃金を支払う必要があります。

 

割増賃金率については以下のように定められています。

1)時間外労働・・・2割5分以上(1か月について60時間を超える場合は5割以上)

2)休日労働・・・・3割5分以上

3)法定労働時間内の深夜労働・・・2割5分以上

4)時間外労働が深夜におよんだ場合・・・5割以上(1か月について60時間を超える場合は7割5分以上)

5)休日労働が深夜におよんだ場合・・・6割以上

 

2023年4月から1か月60時間を超える法定時間外労働に対して、中小企業であったとしても、50%以上の率で計算した割増賃金を支払う必要があります。60時間以上の時間外労働をさせる場合は、支払金額がこれまで以上に大きくなります。

 

休日労働の基本的な考え方

週休2日の会社も多くありますが、法律上の休日は、毎週1回以上(週休制といいます。)付与すると定められています。週休制をとることが難しい場合は、変形休日制をとることも可能です。変形休日制とは、4週間に4日以上の休日を取得する制度のことです。変形休日制にする場合は、就業規則等に変形期間の起算日を定めておくことが必要になります。

 

週休2日制をとっている会社が多い理由は、1日8時間、1週40時間を考えるとわかります。週40時間を1日8時間で割ると5日間となります。1週間は7日なので、5日間働くと残りの2日間が休みになります。このため、一般的には週休2日が定着していますが、法律に定められたものではないことを理解しておきましょう。

 

1週間で1日、あるいは4週間で4日間の休日を「法定休日」と呼びます。それ以外の休日については「所定休日」と呼びます。

法律上、休日労働とされるのは法定休日なので、割増賃金の支払い義務が発生するのも法定休日に労働した場合に限られます。ただし、所定休日に労働した場合に、週40時間を超えていれば、時間外労働として割増賃金を支払う必要があります。

 

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夜勤明けと休日について

休日は、原則として0時から24時までの24時間をいいます。所定休日とされている日でも、前日の労働が延長されて深夜0時を超えた場合などは、休日を与えたことになりません。

 

例えば、月曜日の20時~翌5時まで夜勤シフトで働き、次の出勤が水曜日の22時だったとします。火曜日の5時から水曜日の22時まで41時間もの間隔がありますが、0時から24時までの連続した24時間の休みはとっていないため、休日として取り扱うことはできません。

夜勤シフトを作成する際には、夜勤明けの日とは別に、1週間で1日、あるいは4週間に4日の休日(法定休日)を設定する必要があります。

上記の例であれば、水曜日が昼間勤務も夜勤もない完全な休日になっていて、次の勤務の開始時間が木曜日の0時以降に出勤となるシフトになっていれば、水曜日は休日になります。

このように、夜勤のあるシフトを作成する場合は、休日の考え方を熟知していなければなりません。

 

例外として、3交替制勤務等で暦日をまたがる勤務がある場合には、継続24時間をもって休日とすることで差し支えないとされていますが、この場合の「交代制勤務等」とは、就業規則等であらかじめ番方編成が定められていて、その交代に規則性があるものに限られています。仮にいくつかのパターンの勤務時間を就業規則等で定めていたとしても、毎月シフト表で勤務時間を決定しているような場合は、例外としての交代制勤務には該当しないので注意しましょう。

 

 

今回は、深夜シフトと休日の考え方について説明しました。夜勤シフトがある会社は、いわゆる明け休みと法律上の休日について、しっかりと区別することが重要です。明け休みと休日を正しく理解していないと、知らず知らずのうちに休日労働に対する割増賃金が支払われていないケースも考えられます。

夜勤シフトがある会社のシフト表の作成担当者は、シフト作成時のルールを、改めて確認してみてください。

 

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