川島孝一
第138回  投稿:2024.12.03 / 最終更新:2024.12.03

年収の壁の種類と100万円の壁~103万の壁、130万の壁以外にも「壁」がある~

鈴与シンワートが提供する管理部門の業務ソリューション

ここのところ、年収の壁の見直しについて報道が続いています。多く報道されているのは「103万円の壁」と「130万円の壁」ですが、それ以外にも複数の壁が存在しています。
今後、どのように法改正されていくかはまだ不明ですが、現状のルールにおける年収の壁を改めて確認しておきましょう。

年収の壁の種類について

年収の壁は、大きく分けて3種類存在しています。
「税金に関する壁」「社会保険に関する壁」「配偶者手当に関する壁」の3種類です。要件についてはそれぞれ違いますが、今回は「税金に関する壁」をみていきます。

所得の計算方法について

年収に関する壁をみていく前に、所得の計算方法について確認しておきましょう。会社員やパートアルバイトの方と、自営業やフリーランスの方で所得の計算方法は違います。

会社員やパート・アルバイトの方

会社から支払われる給与等の総支給額(通勤費などの非課税所得は除く)
- 給与所得控除額等 = 所得

自営業やフリーランスの方

事業によって得た総収入金額 - 必要経費(=事業運営にかかる経費等) = 所得

年間の所得(1月から12月)を確定させる手段には、年末調整や確定申告があります。会社員やパート・アルバイトの方の場合、所得税は会社が毎月の給与やボーナスから源泉徴収し、年末調整で税額を確定するのが一般的です。
一方で、自営業やフリーランスの方は、その年の収入や経費から税額を計算し、確定申告を自分自身で行うことで税額を確定する必要があります。

税金に関する壁について

税金に関する壁については、その壁を超えると所得に対して税金が課税される金額になります。
税金の壁には、「100万円(98万円)の壁」「103万円の壁」「150万円の壁」「201万円の壁」の4種類があります。ここでいう金額は、会社員やパート・アルバイトなどの給与所得者の年収額です。
まずは、 最も低い金額の壁である100万円(98万円)の壁について説明します。

税金に関する壁については、その壁を超えると所得に対して税金が課税される金額になります。
税金の壁には、「100万円(98万円)の壁」「103万円の壁」「150万円の壁」「201万円の壁」の4種類があります。ここでいう金額は、会社員やパート・アルバイトなどの給与所得者の年収額です。
まずは、 最も低い金額の壁である100万円(98万円)の壁について説明します。

100万円(98万円)の壁

この金額は、住民税の支払いが発生する年収です。

住民税は毎年1月1日時点の住所地である市町村に前年の所得に応じて納める税金のことです。住民税の納付方法は、普通徴収と特別徴収の2種類があります。

「普通徴収」は、給与所得ではない個人事業主や退職して次の就職先が決まっていない方などが自分自身で住民税を納付することをいいます。一方、「特別徴収」は、会社が毎月の給与から天引きをして個人の代わりに各市町村に支払うことをいいます。
これらは納付の方法なので、どちらの納付方法であっても年間の納付額は同額です。ただし、特別徴収は毎月給与から控除されますが、普通徴収の場合は年4回に分けて支払う仕組みのため納税の負担感が多くなると言われています。

 給与所得者の場合、年収1,619,000円までの給与所得控除額は550,000円です。住民税の基礎控除額は所得税を計算する際の基礎控除額より50,000円少ない430,000円です。
 したがって、550,000+430,000=980,000円以下の年収であれば、住民税を計算する上での所得は「ゼロ円」となり、課税されないことになります。
 
 ただし、住民税には「非課税限度額」という別のルールがあります。そのため、550,000+450,000(非課税限度額)=1,000,000円以下の年収であれば、住民税は非課税になります。

住民税の計算方法

住民税は、均等割、所得割、森林環境税で構成されています。
計算方法は、自治体によって異なりますが、東京都のルールで年収が103万円だった場合のケースの住民税額を計算してみましょう。

1)均等割
均等割は、定額で課税されます。個人都民税の税額は1,000円、個人区市町村民税の税額は3,000円です。

2)所得割
所得割額の計算方法は以下の通りです。

1,030,000円(年収)-550,000円(給与所得控除)-430,000円(基礎控除)=50,000円
50,000円×10%(住民税の税率)=5,000円

森林環境税

2024年より、森林環境税が年額1,000円課税されています。森林環境税は区市町村において、個人住民税均等割と併せて課税されることになっています。

したがって、年収が103万円だった場合は、
4,000円(均等割)+5,000円(所得割)+1,000円(森林環境税)=10,000円が個人住民税の年額になります。

道されているように、「年収の壁」に注目が集まっています。給与計算を担当されている方等は、「年収の壁」について質問をされることも増えていくと考えられますので、しっかりとした知識を持っておく必要があるでしょう。

年収の壁について解説


次回以降も、引き続き「年収の壁」についてみていきます。


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