川島孝一
第150回  投稿:2025.12.05 / 最終更新:2025.12.05

深夜業と勤務間インターバル制度

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病院や介護事業所などでは、深夜に勤務する方は珍しくありません。深夜勤務は、必要に迫られた大切な業務ですが、実際に夜勤を行っている方の視点で考えると睡眠不足による慢性疲労等の問題が存在しています。

今回は、深夜業を行う上での注意点や勤務間インターバルなどについてみていきます。

深夜業を行う上での注意点

人間は明るい昼の時間に活動をして、暗くなる夜には休息する身体のサイクルになっています。

夜勤は、本来は休息が必要な時間に活動をすることになりますので、本来のサイクルから大きく外れてしまいます。そのため、日中に、十分睡眠をとったとしても十分に回復しないといった状況が生まれてしまいます。

また、夜勤を続けることによって高血圧症、心疾患、糖尿病、乳がん、前立腺がん等の発症リスクが高まると言われています。このようなリスクがあることは理解していても、業種によっては24時間体制を取ることはやむを得ないケースもあります。

夜勤・交代勤務者の健康と生活の質を向上させるためのガイドライン

夜勤・交代勤務者の健康と生活の質を向上させるために、「ルーテンフランツ9原則」という指針があります。

このガイドラインは、日本国内だけの基準ではなく国際的に利用されている基準です。深夜業を行っている方が健康に対して自助努力をするだけでなく、会社としても疲労を蓄積させない体制を整えていく必要あります。

夜勤が発生する事業所では、下に記載したガイドラインの内容を見ながら、シフトの組み方などで改善できる点がないか検討してみてください。

ガイドラインの内容


①連続夜勤は避ける
②日勤開始時刻は早くしない
③シフト交代時刻は個人に融通性を持たせる
④夜勤は他の勤務より短くすべき
⑤短い勤務間隔は避ける
⑥連続勤務を行う場合は少なくとも2連続休日の週末を含むべき
⑦連続勤務は時計回りの正循環にする
⑧勤務開始から休日までの1周期は長くしない
⑨シフトの循環は規則正しく

勤務間インターバル制度

勤務間インターバル制度とは、終業時刻から次の始業時刻の間に、一定時間以上の休息時間(インターバル時間)を設けることで、従業員の生活時間や睡眠時間を確保しようとするものです。

「労働時間等設定改善法」が改正され、2019年4月1日より勤務間インターバル制度の導入が事業主の努力義務になっています。一定のインターバル時間を確保することで、従業員が十分な生活時間や睡眠時間を確保でき、ワーク・ライフ・バランスを保ちながら働き続けることができます。

特に夜勤が発生する事業所では、勤務間インターバルを意識する必要があるでしょう。

厚生労働省では、勤務間インターバル制度を導入する際の就業規則例をパターン別に公表しています。

・休息時間と翌所定労働時間が重複する部分を労働とみなす場合


第○条 いかなる場合も、労働者ごとに1日の勤務終了後、次の勤務の開始までに少なくとも、○時間の継続した休息時間を与える。

2 前項の休息時間の満了時刻が、次の勤務の所定始業時刻以降に及ぶ場合、当該始業時刻から満了時刻までの時間は労働したものとみなす。

・始業時刻を繰り下げる場合


第○条 いかなる場合も、労働者ごとに1日の勤務終了後、次の勤務の開始までに少なくとも、○時間の継続した休息時間を与える。

2 前項の休息時間の満了時刻が、次の勤務の所定始業時刻以降に及ぶ場合、翌日の始業時間は、前項の休息時間の満了時刻まで繰り下げる。

勤務間インターバル制度は、今後、「努力義務」から「義務」に法改正が行われる可能性もあります。今後の動向を注視しておきましょう。

特定業務に対する健康診断

労働安全衛生法に定められているルールとして、事業主は、特定業務に従事する労働者に対しては、当該業務への配置替えの際と6ヶ月に一度、健康診断を行なわなければなりません。

特定業務の中には、深夜業も含まれています。この労働安全衛生法に定める深夜業は、たまたま1日だけ、夜10時を過ぎて残業をする場合は該当しません。労働契約の内容に深夜業が含まれているかどうかで、特定業務に該当するか否かが決定されることになっています。

たとえば、1週間の中で月曜日は深夜勤務、それ以外は日中の勤務といった契約の場合は特定業務に該当することになります。深夜業の回数や頻度は関係ありませんので、注意しましょう。

S-PAYCIAL関連コラム「ストレスチェック制度と定期健康診断」遷移バナー

特定業務における健康診断の検査項目は、以下の通りになります。

①既往歴及び業務歴の調査
②自覚症状及び他覚症状の有無の検査
③身長、体重、腹囲、視力、聴力の検査
④胸部エックス線検査及び喀痰検査
⑤血圧の測定
⑥貧血検査(血色素量及び赤血球数)
⑦肝機能検査(GOT、GPT、γ‐GTP)
⑧血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
⑨血糖検査
⑩尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
⑪心電図検査

深夜勤務は、人間本来のリズムから外れた働き方です。法律で定められている通り運用しているから問題ないと考えるのではなく、少しでも健康リスクが低減されるようにシフトの組み方をはじめ体制を整えていくことが重要です。

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