川島孝一
第22回  投稿:2015.01.25 / 最終更新:2018.11.09

来年1月開始~マイナンバー制度 その1

いよいよ、マイナンバー制度が平成28年1月よりスタートします。マイナンバー制度が利用される範囲は、今のところ、社会保障、税、災害対策の3分野に限定されていますが、会社として事前に準備をしておく必要があります。
次第にマイナンバー制度の具体的な運用方法が見えてきましたが、担当者は、まずはマイナンバー制度の概要をおさえておくことが大切です。
今回からマインナンバー制度の概要を数回に分けて見ていきたいと思います。

<なぜマイナンバー制度が導入されるのか?>
マイナンバーは、住民票を持っているすべての人に1人1つの番号を付して、社会保障、税、災害対策の分野で利用することを目的としています。
マイナンバー制度が導入されると、複数の行政機関に存在する個人の情報が、マイナンバーを介して、同一人物の情報であることが確認できるようになります。そのため、「効率的な手続きが可能になる」はずです。
マイナンバー制度が導入されることによって期待される効果は、大きく3つあげられています。1つ目は、所得や他の行政サービスの受給状況を把握しやすくなるため、負担を不当に免れることや給付を不正に受けることを防止し、本当に困っている方に国がきめ細かな支援を行えるようになります。(公平・公正な社会の実現)
2つ目は、添付書類の削減など、行政手続きが簡素化され、国民の負担が軽減されます。また、行政機関が持っている自分の情報を確認したり、行政機関からさまざまなサービスのお知らせを受け取ったりできるようになります。(国民の利便性の向上)
3つ目は、行政機関や地方公共団体などで、さまざまな情報の照合、転記、入力などに要している時間や労力が大幅に削減されます。
複数の業務の間での連携が進み、作業の重複などの無駄が削減されるようになります。(行政の効率化)

<個人番号とは?>
「個人番号」は、数字のみで構成される12桁の番号です。平成27年10月以降に、市区町村から住民票の住所に送られる「通知カード」で通知されます。
平成28年1月以降は、社会保障、税、災害対策の分野で行政機関などに提出する書類にマイナンバーの記載が必要になります。
例えば、源泉徴収票であれば、平成28年分の源泉徴収票からマイナンバーを記載することになります。したがって、在職者であれば遅くとも 平成28年の年末調整時にマイナンバーの把握が必要になりますし、平成28年1月の給与支給がある退職者であれば、その時点でマイナンバーを把握しておく必要があります。

この個人番号は住民票コードを基礎にして作成されるため、国外に滞在されている方などで住民票がない場合は、マイナンバーを指定されません。帰国して住民票が作成されれば、そのときにマイナンバーの指定対象となります。外国籍でも住民票のある方には、マイナンバーが当初から指定されます。

<法人番号とは?>
「法人番号」は、数字のみで構成される13桁の番号になります。
法人番号は個人番号とは異なり、国税庁長官から書面で通知されます。なお、法人番号は一法人に対し一番号のみ指定されるので、法人の支店や事業所等には法人番号は通知されません。
法人番号自体には、マイナンバー(個人番号)とは異なり利用範囲の制約がありません。そのため、誰でも自由に利用することができます。
また、法人番号は、インターネットを通じて公表することが予定されています。公表される情報は、法人番号の指定を受けた者の①商号又は名称、②本店又は主たる事務所の所在地、③法人番号の3項目(基本3情報)です。
法人番号の指定を受けた後に、商号や所在地等に変更があった場合には、公表情報を更新するほか、変更履歴もあわせて公表されます。

行政分野における法人番号の利用方法は、平成28年1月以降、税分野の手続きで使用します。例えば、法人税の申告の場合、

平成28年1月以降に開始する事業年度に係る申告から法人番号を記載することになります。
番号を付与される法人は、以下の①~④の法人になります。
①国の機関
②地方公共団体
③設立登記法人
④上記以外の法人又は人格のない社団等であって、所得税法第230条に規定する「給与支払事務所等の開設届出書」など、国税に関する法律に規定する届出書を提出することとされている者

上記のいずれかに該当する法人には、法人番号が付与されます。これ以外の法人番号を指定されない法人や人格のない社団等であっても、国内に本店を有する法人や、国税に関する法律に基づき税務署長等に申告書・届出書等の書類を提出する者など一定の要件に当てはまれば、国税庁長官に届け出ることで法人番号の指定を受けられます。

<通知カードと個人番号カード>
各個人に個人番号を知らせる「通知カード」は、紙製のカードが予定されています。この通知カードだけでも自分自身の個人番号を知ることができます。
券面には、①氏名、②住所、③生年月日、④性別(基本4情報)、⑤マイナンバーが記載されますが、顔写真はありません。
そのため、通知カード単体では本人確認はできませんので、あわせて、主務省令で定める書類(運転免許証等となる予定)の提示が必要となります。

顔写真付にして本人確認ができるようにするには、通知カードを「個人番号カード」に変更しなければなりません。
個人番号カードは、通知カードとともに送付される申請書を市区町村に提出することで、平成28年1月以降に交付を受けられます。
なお、個人番号カードの交付を受けるときは、通知カードを市区町村に返納しなければなりません。
個人番号カードは、住民基本台帳カードと同様、ICチップのついたカードが予定されています。表面には、①~④の基本4情報と、⑤顔写真、裏面に⑥マイナンバー(個人番号)が記載されます。

この個人番号カードは、本人確認のための身分証明書として使用できるほか、図書館カードや印鑑登録証など自治体等が条例で定めるサービスに利用でき、またe-Tax等の電子申請のできる電子証明書も標準搭載されることになっています。
個人番号カードは、申請により市区町村長が交付しますが、取得は強制ではありません。ただ、個人番号カードは、各種手続きにおけるマイナンバー(個人番号)の確認と本人確認が同時にできるなど、国民生活の利便性が向上します。そのため、国としては
個人番号カードの取得を推奨しています。
個人番号カードの交付開始以降は、これまでの住基カードの新規発行は中止される予定です。ただし、平成27年12月までに発行された住基カードについては、有効期間内は引き続き利用できる見込みです。

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平成27年10月より順次、各個人に通知カードが送付されてきます。会社は、「従業員」と「扶養家族」の個人番号を把握する必要があります。行政手続きは簡素化されるのかもしれませんが、会社の負担が間違いなく増えます。
マイナンバー制度開始前に、手続きの業務フローの見直しや、給与ソフトをはじめとするシステムのバージョンアップ等のスケジュールを確認しておきましょう。
次回は、従業員から個人番号を取得する際の注意点を見ていきます。

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