川島孝一
第55回  投稿:2017.11.24 / 最終更新:2017.11.24

働き方改革を実現するために(その4)

マスコミ等で頻繁に報道されるようになった影響からか、「労働時間を短縮して生産性を向上させたい」という相談を多く受けるようになりました。経営者の中には、「生産性を上げるためには新しい機械を導入したり、人工知能(AI)を活用したりしなければ解決しない」と考えている方が少なくありません。
もちろん、業種や従業員数によっては、そのような機械やシステムの導入が必要になることもあります。しかし、費用や時間をあまりかけずに、今日から生産性の向上のために実践できる項目も存在します。
そのヒントにするため、4回に分けて内閣府・仕事と生活の調和推進室が発行している「ワークライフバランスの実現に向けた10の実践」を紹介してきました。
今回は最後の3項目を紹介したいと思います。

<8.スケジュールの共有化>

普段の仕事の現場で、従業員それぞれが時間感覚を持つことも「メリハリのある働き方」に向けた業務効率化の重要な要素になります。
ひとつの作業にどの程度時間をかけるべきか(かけられるのか)を認識しながら、作業を計画して遂行することにより、業務の効率を向上させることができます。

また、あまりに作業に没頭すると、時間の経過を忘れて作業に集中してしまいがちです。作業や会議に集中しているときでも、経過時間を認識しやすいように工夫することが必要です。
職場のメンバー全員が自分のスケジュールを公開し、お互いのスケジュールを確認できるようにすると、職場全体で協力して業務効率化に取り組むことができます。

事例紹介

打ち合わせの設定や仕事の依頼などがしやすくなるため、職場の全員がスケジュールを公開している。また、そのスケジュールの中に定時退社時間をあらかじめ記入している。

事例紹介

メンバーがどんな仕事が多いのか、どのくらいの業務量を持っているかを全員で共有するため、先のスケジュールを明確化している。
業務に偏りがある場合は、メンバー間の話し合いで、業務の再分配をしている。

<9.業務に集中する時間の設定>

ホワイトカラーの場合、業務の効率性は個人の集中力とその持続性に左右されます。誰にも邪魔されず、集中して自身の業務に没頭することができれば良いのですが、なかなかそのような状況を自然と作り出すことは難しいでしょう。
例えば、「作業中に顧客・取引先からの電話が回される」「上司や同僚から声を掛けられる」など、業務遂行に必要なことであっても、現状の作業遂行においては集中力の持続を阻害する雑音となります。このような事柄は、実際のオフィスや作業現場には多くあります。

こうした雑音を一定期間遮断し、お互いに邪魔されない環境を作ることで「効率的な業務遂行を実現しよう」とする取り組みがあります。
業務に集中する時間を設定するための具体的な内容は、特定の曜日・時間帯においてオフィスで働く従業員だけでなく電話の取次ぎも禁止するものがあります。中小企業では、なかなかそこまで導入するのは難しいかもしれませんが、社内での声掛けを制限するといったことだけでも効果があるでしょう。
業務に集中する時間の設定をした際には、時間帯を順守することとその取り組みを継続することが重要です。

事例紹介

毎週水曜日の午前中をCC-Time(CCはコミュニケーション&コンセントレーションの意)として設定した。基本ルールは次の3つである。
1)部を超える会議・打ち合わせの禁止
2)幹部社員は原則在席し、出張も原則禁止
3)電話やメールの発信も極力避ける

顧客への緊急対応時はこの限りでないが、計画不足によりルールが守れないことのないように、目的とルールについて周知を繰り返した。CC-Timeの使い方は職場ごとに異なり「幹部社員とのFace to Faceのコミュニケーション強化」、「職場力の向上活動推進」、「個人業務への集中(知的生産性向上)」などに取り組んでいる。

<10.仕事の効率化策の共有>

パソコンの活用や、資料の整理、スケジュールの管理等、職場の中にも効率的な仕事の進め方を実践している人がいるはずです。仕事の進め方の効率化を図るためには、職場全体、会社全体でそうした人の知識を十分に共有することが重要です。
この「仕事の効率化策の共有」は、同じ場所で働いていても自然に実現されるものではありません。研修等を繰り返し開催して、知識の共有を進めて行く必要があります。

また、仕事の進め方の効率化を図る意識を持ってもらうために、研修やミーティングを開催して、それぞれの仕事の進め方について考える機会を提供することも有効です。
取り組みに論理的な説明が加えたり、他社事例等から自身の働き方を見直し、メリハリのある働き方を実践する契機を提供することで、仕事の進め方の変革を主体的に行うようになると期待されます。

事例紹介

自由参加のパソコン教室を繰り返し何度も開催している。新しく採用された者を対象に社内のシステムについていくために、基礎的なことを覚えてもらっている。

事例紹介

エクセルの使い方から営業時間中の時間の使い方、ノートの取り方等、細かい部分での生産性向上術を収集した。コピー機でPDFを作成するなど、知っていれば効率的に仕事が進められる可能性があるのにも関わらず、知識不足のためにあまり実施されていない事柄を集めて冊子を作成した。作成された冊子はカンパニーの中で配布し、活用した。

 

労働時間を短縮して生産性を向上しなければ、企業が生き残っていくのは難しい時代になってきました。
これまで複数回に分けて「ワークライフバランスの実現に向けた10の実践」を紹介してきました。内容としては当たり前のことのようですが、実際にすべてを実施できている会社は少ないかもしれません。
生産性の向上は一朝一夕で実現できるほど簡単ではありません。自社で取り組めることを愚直に実践し、少しずつでも生産性を向上させていきましょう。

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