いよいよ成立が見込まれる労働者派遣法
目次
これまでなかなか成立に至らなかった「労働者派遣法改正案」が、平成27年6月19日の衆院本会議で可決されました。参院の審議はこれからですが、会期も延長されたことで、今国会で成立する可能性がかなり高いとみられます。
派遣労働者を受け入れている企業は相当数にのぼります。ただ、労働者派遣法が大変わかりにくいものとなっているため、自信をもって派遣法の知識があると答えられる方はそれほど多くないのではないでしょうか?
今回は、現行の派遣法の基本的な考え方と、法改正案がどのようなものかを解説していきます。
<派遣労働とは?>
派遣労働とは、派遣元の会社が自ら雇用している労働者を別の会社(派遣先)に派遣し、労働者は派遣先の指揮命令を受けて働くという働き方です。
派遣先は、労働者から労務の提供を受けたことに対して派遣元に派遣料金を支払い、派遣元は、派遣労働者に対して賃金を支払います。
派遣労働は、労働者の契約形態によって特定派遣と言われる「常用型」と一般派遣と言われる「登録型」の2つに分けられます。派遣労働は、労働契約を結んだ会社の指揮命令を受けて働く一般的な働き方とは異なり、「指揮命令をする会社(派遣先)」と「労働契約を結ぶ会社(派遣元)」が異なるため、さまざまな問題が生じることがあります。
そこで、派遣労働者の保護を図り、派遣労働者の雇用の安定、福祉の増進を図るため、労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)及び派遣元指針(派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針)、派遣先指針(派遣先事業主が講ずべき措置に関する指針)が定められ、派遣元と派遣先がそれぞれ講ずるべき措置等を示しています。
<派遣労働ができない業種>
派遣労働が禁止されている業務には、1)港湾運送業務、2)建設業務、3)警備業務、4)病院等における医療関係業務(ただし、紹介予定派遣・産休等代替・へき地の医師を除きます。)、5)弁護士・税理士等のいわゆる「士」業務(一部例外があります。)等があります。
<派遣先が派遣労働者を受け入れられる期間>
派遣先が派遣労働者を受け入れることができる期間は業務によって変わってきます。次の4つの業務については、派遣受入期間に制限はありませんが、それ以外の業務については、原則1年間、最長で3年間が派遣受入期間となります。
1)政令で決められた業務(派遣法第40条の2第1項第1号)
業務を迅速かつ的確に行うために専門的知識や技術などを必要とする業務、または特別の雇用管理を必要とする業務への派遣です。いわゆる専門26業務と呼ばれる業務です。この業務内容は、派遣法施行令第4条及び第5条で定められており、派遣受入期間の制限はありません。
2)有期プロジェクト型業務
事業の開始、転換、拡大、縮小または廃止のために必要な業務で、一定期間内で完了することが予定されている業務への派遣については、その業務が完了するまでの期間であれば、受入期間の制限はありません。
3)日数限定業務
1ヶ月間に行われる日数が、派遣先の通常の労働者の所定労働日数の半分以下で、かつ10日以下であるような業務への派遣については、受入期間の制限はありません。
4)産前産後・育児・介護休業を取得する労働者の代替業務
従業員が産前産後休業や育児・介護休業を取得するときに、代わりの従業員を補充するための派遣労働者の受け入れは、受入期間の制限はありません。
<派遣法の改正案について>
それでは、平成27年6月29日に衆院を通過した改正案と現行法の主な違いを見ていきましょう。
<最後に>
今回紹介させて頂いた内容は、あくまでも衆院を通過した内容となっています。まだ、法律の内容が正式に決まったわけではありません。そのため、内容が若干変わってくる可能性も否定できません。
今回は派遣を受け入れる側から見た改正点を中心にご紹介しました。今回の法改正案では、これまで届け出をすれば派遣業を営むことができた「特定派遣」がなくなり、派遣業はすべて許可制になるなど、派遣をする側のルールも大きく変わることになります。
派遣労働者を受け入れている会社の経営者や担当者は、法改正の行方や、経過措置、法改正後の指針の行方など、今後の動向を注視しておく必要があるでしょう。
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