川島孝一
第71回  投稿:2019.03.22 / 最終更新:2019.03.22

働き方改革~新36協定の内容

働き方改革の一環として労働基準法が改正され、大企業は2019年4月から、中小企業は2020年4月から時間外労働の上限規制がスタートします。改正に伴い、「時間外労働・休日労働に関する協定届」(いわゆる「36 協定」)も様式が新しくなります。
前回に引き続き、今回は新しい36協定の具体的な内容についてみていきたいと思います。

 36協定の締結について

今回の法改正では、これまでの限度基準告示による時間外労働時間の上限だけでなく、「休日労働も含めた」労働時間に上限が設けられています。また、上限はその月だけで判断するのではなく、複数の月で上限を超えていないかどうかもチェックする必要があります。
2019年4月1日(中小企業は2020年4月1日)以降を始期とする36協定は、労基署へ届け出る様式も変更になります。
新しい36協定の締結に当たって注意すべきポイントは以下のようになります。

「1日」「1ヶ月」「1年」について、時間外労働の限度を定める
これまでの36協定で延長することができる期間は、「1日」「1日を超えて3ヶ月以内の期間」「1年」でした。 これまでは、1ヶ月以外のたとえば「1週間」や「2週間」「3ヶ月」などを定めれば、必ずしも「1ヶ月」を定める必要はなかったのですが、今回の改正によって、「1日」「1ヶ月」「1年」の時間外労働の限度を定めなければならなくなりました。
これは、「1ヶ月」と「1年」に時間外労働の上限規制が定められたことによるものです。

協定期間の「起算日」を定める
法改正によって、1年間における時間外労働の上限を設定する必要があります。そのため、協定期間の起算日を定めることになります。

時間外労働と休日労働の合計について、月100時間未満、2ヶ月~6ヶ月平均を80時間以内にして協定をする
新しい36協定では「1日」「1ヶ月」「1年」の時間外労働の上限時間を定めますが、今回の法改正では、この上限時間内で労働させた場合であっても、休日労働との合計時間に対しても上限が決められています。時間外労働と休日労働の合計時間に制限を設けるのは、これまでになかった概念です。
新しい上限規制では、実際の時間外労働と休日労働の合計が、「月100時間以上」または「2~6ケ月平均で80時間超」となった場合には、法違反となります。そのため、新36協定では、時間外労働と休日労働の合計を月100時間未満、2~6ヶ月平均で80時間以内とすることを、協定する必要があります。
36協定の新しい様式では、この点について労使で合意したことを確認するためのチェックボックスが設けられています。

限度時間を超えて労働させることができるのは、「臨時的な特別の事情がある場合」に限る
限度時間(月45時間・年360時間)を超える時間外労働を行わせることができるのは、通常では想定することのできない業務量の大幅な増加など、臨時的な特別の事情がある場合に限られます。

臨時的に必要がある場合の例としては、以下のような事由などがあげられます。

・予算・決算業務
・ボーナス商戦に伴う業務の繁忙
・納期のひっ迫
・大規模なクレームの対応
・機械トラブルへの対応

反対に、具体的に定めていないと判断される事項には、以下のような例があげられます。

・(特に事由を限定せず)業務の都合上必要なとき
・(特に事由を限定せず)業務上やむを得ないとき
・(特に事由を限定せず)業務繁忙なとき
・使用者が必要と認めるとき
・年間を通じて適用されることが明らかな事由など 

36協定の新様式については、厚生労働省が記載例を発表していますので確認をしてください。 

労働者代表の選出について

労働者代表の選出を正しい方法で行わないと、36協定自体が無効になってしまう可能性もあります。この労働者の過半数を代表する者は、次のいずれにも該当する従業員であることを確認しましょう。

・監督または管理の地位にある者でないこと
・労使協定の締結等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続きにより選出された者であること
・使用者の意向に基づいて選出された者でないこと(会社による指名や、社員親睦会の代表が自動的に選出されることなどは不適切な選出となります)

上限規制への対応

36協定の締結と届出を行った場合、次に会社が行わなければならないのが、36協定で定めた内容を遵守するために、従業員の方の労働時間をしっかりと管理するということです。経営者や人事担当者は、月々の労働時間を把握していく際に、以下の点に注意をしてください。

①「1日」「1ヶ月」「1年」のそれぞれの時間外労働が36協定で定めた時間を超えていないこと
②休日労働の回数・時間が36協定で定めた回数・時間を超えていないこと
③特別条項の回数が36協定で定めた回数を超えていないこと
④月の時間外労働と休日労働の合計が、毎月100時間以上にならないこと
⑤月の時間外労働と休日労働の合計について、どの2ヶ月~6ヶ月の平均をとっても、1ヶ月当たり80時間を超えていないこと

このように、これまで以上にしっかりと従業員の労働時間を把握しないと、気づかないうちに36協定違反になってしまう可能性があります。これまでのルールよりも複雑になっていますので、時間外労働や休日労働の時間数の管理方法もあらかじめ整備しておくようにしましょう。

 

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