川島孝一
第158回  投稿:2026.08.27 / 最終更新:2026.08.26

同一労働同一賃金ガイドラインの改正

パートタイム・有期雇用労働者の待遇改善を進めるため、2026年10月からパートタイム・有期雇用労働者に関するルールが改正されることになりました。

具体的な変更内容は、雇い入れ時の労働条件明示事項の追加、「同一労働同一賃金ガイドライン」の改正、雇用管理の改善等に関する措置の内容変更の3点になります。

今回は、「同一労働同一賃金ガイドライン」の改正内容についてみていきます。

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同一労働同一賃金の背景と定義

「同一労働同一賃金とはなにか?」という部分について、おさらいも兼ねてみていきます。

同一労働同一賃金とは?を説明する画像

日本の雇用慣行では、年齢や勤続年数といった俗人的な要素や無期雇用や有期雇用といった契約形態で給与の金額を決定することが多いため、パートタイム労働法や労働契約法などのルールがあっても、正規雇用者と非正規雇用者の格差があることは否めません。

日本の非正規雇用労働者の賃金水準は欧州諸国と比べて低い状況にあり、不合理な待遇差の解消による非正規雇用労働者の待遇改善は重要な政策課題と位置づけられています。

そのため、パート社員、契約社員、派遣労働者などについて、正社員と比較して不合理な待遇差を設けることを禁止するという「同一労働同一賃金」という考え方が生まれました。

言葉だけではなかなかイメージをすることが難しいため、厚生労働省では、「同一労働同一賃金ガイドライン」を設け、公表しています。このガイドラインは、正社員と非正規雇用労働者との間で待遇差がある場合に、どのようなケースが不合理な待遇になり、どのようなケースが不合理な待遇にならないかという原則と具体例が記載されています。

同一労働同一賃金ガイドラインに追加される内容

「同一労働同一賃金ガイドライン」が公表されてから5年以上が経過し、見直しに向けた議論が行われてきましたが、2026年10月に改正されることになりました。

今回、ガイドラインに追加される内容は以下の通りとなります。

1) 賞与・退職手当

賞与・退職手当の目的には、労務の対価の後払い、功労報償等のさまざまな目的が含まれます。パートタイム・有期雇用労働者に対し、正社員との間の職務の内容等の違いに応じた均衡のとれた内容を支給しない場合、不合理と認められる可能性があります。

2) 無事故手当

正社員と業務の内容が同一のパートタイム・有期雇用労働者には、正社員と同一の無事故手当を支給しなければなりません。

3) 家族手当

労働契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれるパートタイム・有期雇用労働者には、正社員と同一の家族手当を支給しなければなりません。

4) 住宅手当

住宅手当が「転居を伴う配置の変更の有無に応じて支給されるもの」である場合、正社員と同一の転居を伴う配置の変更があるパートタイム・有期雇用労働者には、正社員と同一の住宅手当を支給しなければなりません。

5) 福利厚生施設

福利厚生施設の料金・割引率等の利用条件について、不合理と認められる待遇差を設けてはいけません。

6) 病気休職

正社員に病気休職期間に対する給与の保障を行う場合には、労働契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれるパートタイム・有期雇用労働者にも、正社員と同一の給与の保障を行わなければなりません。

7) 夏季冬季休暇

パートタイム・有期雇用労働者にも、正社員と同一の夏季冬季休暇を付与しなければなりません。

8) 褒賞

褒賞が「一定の期間勤続した労働者に付与するもの」である場合、正社員と同一の期間勤続したパートタイム・有期雇用労働者には、通常の労働者と同一の褒賞を付与しなければなりません。

正社員と非正規社員の間の待遇差

正社員と非正規社員の間の待遇差については、実態に応じて判断されることになります。具体的には、下の3つの考慮要素に照らして不合理かどうかを判断することになります。


①職務内容(=業務内容+責任の程度)
②職務内容・配置の変更範囲 (=「人材活用の仕組み・運用等」)
③その他の事情

①と②が正社員と同様の場合は、非正規社員であったとしても同じ待遇が求められます。いわゆる均等待遇と呼ばれるものです。①や②が異なっている場合は、その違いに応じた賃金を設定することは許容されることになります。

正社員と非正規社員の待遇については、定期的に点検を行った方が良いでしょう。

以下の項目が点検をする際の留意点になります。

正社員と非正規社員との間の不合理な待遇差を解消する際には、正社員の労働条件を不利益に変更するのではなく、非正規社員の労働条件の改善を図ることが必要です。

正社員と定年後継続雇用の有期雇用労働者との間の待遇差が不合理と認められるかどうかについては、それぞれの待遇の性質・目的に照らして判断されるものとなります。そのため、定年後継続雇用の有期雇用労働者であることだけで、直ちに不合理ではないと認められるわけではありません。

正社員と非正規社員との間の待遇の違いの要因として、「正社員人材の確保や定着を図る」等の目的があったとしても、待遇差が不合理と認められるかどうかについては、その待遇の他の性質・目的にも照らして判断されるため、「正社員人材の確保や定着を図る」といった目的だけで直ちに不合理ではないと認められるわけではありません。

無期雇用「かつ」フルタイムの労働者は、パートタイム・有期雇用労働法が適用される対象ではありませんが、労働契約は、均衡を考慮しつつ締結すべきものであり、この均衡の考慮にあたっては、ガイドラインの趣旨を考慮すべきであることに留意する必要があります。

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今回は、「同一労働同一賃金ガイドライン」の改正内容について説明してきました。今回の改正のタイミングで、正社員と非正規社員の待遇について不合理なものがないか、ガイドラインに沿って点検を実施するようにしましょう。

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